「刷新感」を打ち出した企業が陥る"残念な"結末 自民党総裁選でも「刷新感」は多用されるが…
歴史のある組織であるなら「慣性の法則」が働く。したがって大きく刷新するなら、メンバーを入れ替える必要がある。政府や外国の企業は可能かもしれないが、日本企業においてそれは簡単ではないだろう。
したがって現状維持バイアスにかかっているメンバー(抵抗勢力)を説得し、新しいやり方を浸透させる手腕がなければリーダーは務まらない。柔軟な姿勢で、かつ粘り強く対話を重ねられる人物が最適だ。
日本企業の場合は性別や年齢という切り口よりも、現メンバーと信頼関係があり、刷新するまで諦めない気持ちが重要になる。
「刷新感」よりも「刷新力」に注視せよ!
さらに、今の時代は言語力も求められる。「刷新感」を重視するなら抽象的なスローガンだけでよいかもしれない。しかし本当に「刷新」するなら踏み込んだ具体策まで言及すべきだ。
「私たち経営企画管理部は、新たな時代に向けた経営とは何かを考え、企画と管理を担っていきたい」
といった曖昧な表現ではなく、もっと固有名詞と数字を盛り込んだ具体的なプランまで発表するのだ。
「私たち経営企画管理部は、2年以内に10億円の新規事業を創出するためマーケット分析、アライアンス戦略を中心に活動していきます。年内にA大学との産学連携の方針も固め、来年3月には年間計画も発表いたします」
施策が具体的であればあるほど、当然、突っ込まれやすくなる。
「どんなマーケット分析をするのか?」「アライアンスで過去に失敗したが、その経験は生かせるのか?」「本当にA大学でいいのか? 他の大学も検討したのか?」と、現状を変えたくない人からの容赦ない指摘があるはずだ。
だから覚悟がない人は抽象的な表現で済まそうとする。霧がかかったような言い回しを多用すれば「騙し騙し」やっていくことが可能だからだ。
性別や年齢、過去の実績は、必ずしも刷新の指標にはならない。重要なのは、未来のあるべき姿に向けて本気で変革する意志や覚悟だ。その実現のための具体的な施策が練られているかどうかである。
「刷新感」は大事だが、注視すべきはリーダーの「刷新力」である。若い人材にやりがいを感じてもらうためにも、本当の意味での「刷新」が今求められているのだから。
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