「刷新感」を打ち出した企業が陥る"残念な"結末 自民党総裁選でも「刷新感」は多用されるが…

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そもそも「刷新」とは、悪い点を取り除いて変化させるという意味だ。単に大きく変化させる「革新」と異なる。

したがって組織を刷新するために、リーダーを変えたり、配置転換をしたりしたにもかかわらず表面的な変化にとどまっているのであれば失望感は大きい。

本当の「刷新」に必要なこと

冒頭に書いたような、毎年のように組織改編を行い、部署名や役職名を変更する会社は気を付けるべきだろう。名刺は変わるが、実態がほとんど変わらないことが多いからだ。

その会社が実際に組織再編したというので、突っ込んだ質問をしてみると次のような会話になってしまった。

「経営企画部と経営企画管理部とは何が異なるんですか?」

「企画のみならず、管理も徹底していこうと思っています」

「何の管理ですか?」

「経営にかかわる、いろいろな管理です」

「それは管理本部の仕事ですよね?」

「た、たしかに」

実際、ある会社では急激な外部環境の変化に対応できず、2年連続で大幅に利益を落とした。競合他社と比べてもダウン幅が大きかった。だから社長は「抜本的な改革」を打ち出したのだが、結局はうわべだけの刷新にとどまったようだ。

実際に何人かの社員と意見交換しても、「表面的な組織改編がされただけ」「顔ぶれが変わっても期待できない」という諦めの声が聞かれた。「抜本的な改革」だなんて言いながら掛け声倒れもいいところだったのだ。

「騙し騙しやっていくしかない」と、あからさまに刷新する気がない表現をするトップもいる。だが最近の若い社員には通用しないだろう。「刷新感」を打ち出すぐらいでは騙されない。優秀な若手ほど組織から離れていくに違いない。

本当の「刷新」には、勇気が必要だ。信念がなければならない。なぜなら悪い点を取り除くことが求められるからである。

年齢や性別、過去の経歴や実績。こういった切り口で選んだリーダーにその勇気、覚悟があるのならいい。しかし、単なる「新鮮さ」で選ぶのなら残念な結果になることだろう。

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