"走るスマートフォン"が車業界に革命を起こす シャオミのEV「SU7」が示す未来のモビリティ

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さらに自分の持っているシャオミのスマートフォンの画面をそのままSU7のディスプレイに投影することも可能だ。そのため普段使っているスマートフォンの環境をそのまま車内でも利用できるのである。これはEVとスマートフォンが同じシステムを使っているメリットの1つだろう。シャオミ独自の音声AIシステムを使い、車内からのナビやお店検索も可能だ。

中国全土にはシャオミストアが2000店舗以上あるという。そのうち現時点では87の店でSU7を展示している。SU7展示の店舗はまるで自動車ディーラーのような広い空間で展示が行われている。しかし、ディーラーの店舗と大きく違うのはここはシャオミストアであり、店内の一角にはシャオミのスマートフォンやスマート家電も販売されているのだ。「スマートフォンを見に来たついでにEVも見る」、これは従来の自動車専門店とは大きく異なるユーザー体験を提供できる。

事実、筆者がシャオミストアを訪れたのは平日の夜だったが、店内にはスマートフォンや周辺機器を見に来た近所の家族づれが何組も来店し、帰りがてらにSU7の乗車体験を楽しんでいた。また話題のSU7を見に来た客が、前客の試乗が終わるのを待つ間にシャオミのスマートフォンを試用する姿も見られた。シャオミはSU7の展示・販売店舗を年内に220店舗まで増やす予定で、SU7の認知は今後さらに広がっていくだろう。

シャオミストア
上海にあるシャオミストア、自動車ディーラーのような広い空間だ(筆者撮影)

スマホメーカーが作る自動車のメリットとは

自動車とスマートフォンの連携では、アップルの「CarPlay」やグーグルの「Android Auto」などもよく使われている。しかし利用できるのはスマートフォンのアプリの一部、ナビゲーションやメディア関連などであり、自動車そのものの操作へのアクセスはできない。自動車にスマートフォンを接続しても、音声で「Hey Siri、エアコンの温度を23度に設定して」あるいは「OK Google、カメラの映像を大きく表示して」などの操作には対応していないのだ。

これに対してSU7はスマートフォンと同じHyperOSをシステムに採用することで、車内に乗り込めばスマートフォンの操作そのものを車内の大型ディスプレイから行うことができる。自動車車内のコントロールとスマートフォンの操作が1つの画面に融合されるのだ。しかもこのHyperOSはシャオミのスマート家電製品にも採用されている。そのためSU7の車内から自宅のエアコンの操作をすることも簡単に行えるのだ。スマートフォンメーカーが作るEVの最大のメリットは、自動車がスマートフォンやほかの製品とシームレスに接続できることなのである。

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