"走るスマートフォン"が車業界に革命を起こす シャオミのEV「SU7」が示す未来のモビリティ

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シャオミSU7の価格は21万5900元(約436万円)からで、同性能の他社のEVより割安だ。この価格競争力はシャオミの大きな強み。しかし、価格の強みだけではNIOのように、いずれ自らの体力を奪いかねない。

シャオミがEVを作る最大の強みは、スマートフォンメーカーとして常に最新のシステム開発を進めていることだ。EVは、もはや「走るスマホ」であり、モーター温度や車体の揺れ具合などEVそのものの情報収集・解析や、道路交通情報、天気から最適なナビゲーションルートを算出するといった技術もスマートフォンのシステム開発の延長として行える。今後、実用化されるであろう自動運転では自動周辺の高度な環境感知や遅延のないブレーキシステム、それらを総合的に処理するAI性能が必要とされるが、それらの面でもシャオミはトップグループに位置する技術力を発揮できるだろう。

素材のみならず、ハードウェアの自社開発も進めている

またEVのエンジンやバッテリー、本体を支えるフレームの素材もシャオミは自社で開発した。これにより今後は柔軟な車種の拡大にも対応できる。EVの故障時の原因解明も自社パーツ・素材を使っていれば迅速に行うことができる。自動車はスマートフォンとは異なり「不具合が生じたらリセットすればいい」製品ではない。自動車は人の命を乗せて移動するツールだ。安全性を最優先する自動車を作るために、シャオミはソフトウェア=システムだけではなく、ハードウェア=基幹部品の自社開発も進めている。

シャオミのCEO、レイ・ジュン氏は今後15年から20年かけてシャオミを世界5位以内の自動車メーカーにするとの野望を打ち立てている。その最初の製品となるSU7の実車は完成度が高く、今後、性能や品質のブラッシュアップや車種拡大を進めていけば、販売台数を着実に増やしていくことも夢ではないだろう。「中国製の自動車」と聞いて品質を疑うのは、時代錯誤も甚だしい。何年かしたら、シャオミのEVが世界各国の道路を疾走する姿が当たり前の姿になるかもしれない。

シャオミ
スマホに続きEVでも世界シェア上位に入るか(筆者撮影)
山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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