日本車が多く売れる地域といえば、多くの人が北米、特にアメリカ合衆国(以下アメリカ)をイメージすることだろう。
たしかにアメリカの新車販売ランキングを見ると、トップ3こそ現地メーカーのピックアップトラックが常連だが、4位以下は日本車が多くランクインしている。
アメリカから撤退し、インドに注力するスズキなど例外もあるが、多くの日系自動車メーカーの経営は、アメリカ市場抜きに語れないのが現状だ。
しかし、それ以外にも日本車が強い地域が存在する。そのひとつが、東南アジア。
たとえば、人気の海外旅行先となっているタイは、少し前まで新車販売における日本車比率が9割に達していた。「新車の10台のうち9台が日本車」という状況は、東京都23区を上回る。
とはいえ、そんな状況に変化が訪れていることは、これまでもレポートしてきた。2023年のタイにおける新車販売の日本車率は、78%まで低下。最大の理由は、言うまでもなく中国車の躍進だ。
10%を超えたタイのEVシェア
中国メーカーは、EV(電気自動車)を中心にハイブリッドなども用意する戦略で、日系メーカーの牙城を崩そうと躍起になっている。
タイでEVを選ぶ人の多くは、地球環境のためではなく、経済合理性からの選択だが、そんな人たちに“内容を考えればリーズナブルな中国のEV”が選ばれているのだ。
安価なモデルであれば、日系のハイブリッドカーを選ぶよりも安く購入できる。日系メーカーのEVは高額モデルが中心で、しかも車種が少ない。中国メーカーが、“その隙に入ってきた”のである。
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