「守る日本」と「攻める中国」ASEAN自動車最前線 中国メーカーが「東南アジア」を攻めるワケ

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さらにいえば、先進国に比べて法規や安全性能などの面で車両を販売するハードルが低く、また中国や中国製品に対する嫌悪感が少ないことも影響している。それらはマーケット側としての理由だ。

中国側の事情としては、輸出を増やして生産規模を大きくしていきたいというのが大前提にある。そのうえで、昨今話題になっている供給過多の問題も外せない。

中国の新興EVブランドのひとつNeta(哪吒汽車)も世界展開を目論む(筆者撮影)
中国の新興EVブランドのひとつNeta(哪吒汽車)も世界展開を目論む(筆者撮影)

補助金などを受けて中国の自動車メーカーはEVをたくさん作り、またその生産を支えるために工場の設備も増強した。

しかし、ここへきて景気の変化などから中国国内での需要が落ち、過当競争が激化。値下げ競争に陥り経営を圧迫している。それを埋めるための販路を海外に求めているのである。

「成長確実」な市場がここに

インドネシアの人口は約2.7億(世界第4位)と多く、現時点でもASEAN最大の自動車市場だ。とはいえ、現在はまだ平均年収が国全体で40万円程度、大都市ジャカルタに限っても約70万円と言われており、クルマは気軽に持てるものではない。

しかし、経済成長に従い「クルマを買えるようになる人」は増えていく。つまり、マーケットが縮小しつつある日本とは違って、拡大するのが確実な場所であるわけだ。

そんな場所で、日本車よりも安くクルマを提供することで存在感を出していこうというのが、中国メーカーの狙いである。

50万円EVで話題となったウーリンも大小さまざまなモデルを展開(筆者撮影)
50万円EVで話題となったウーリンも大小さまざまなモデルを展開(筆者撮影)

モーターショーに展示されている中国ブランド車を見ていて感じたのは、EVメインのタイと比べて、エンジンを積んだ車両が多いこと。これはインドネシアの新車販売におけるEV比率が1%程度と、まだ低いことの表れだろう。

まずは「はじめてクルマを手に取る人に(日本車より)安いガソリン車を」という戦略がうかがえる。そんなインドネシアで、日本メーカーはどこまで踏ん張れるのか。

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