「守る日本」と「攻める中国」ASEAN自動車最前線 中国メーカーが「東南アジア」を攻めるワケ

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日本人としては残念だが、これまでのように日本車がこの世の春を謳歌するような状況ではいられないだろう。一方で、日本車にとって有利な要素もある。

所有する車両を手放すときの価値(リセールバリュー)だ。インドネシアでは、リースのような形でクルマを所有することも多く、そうなると手放すときを想定した残価率によって、毎月の支払い額が大きく変わる(日本の残価設定ローンと同様だ)。

フォーチュナーをはじめとしたトヨタ車のリセールバリューは高い(筆者撮影)
フォーチュナーをはじめとしたトヨタ車のリセールバリューは高い(筆者撮影)

中古車市場で人気の高いクルマは、新車を手にするときの月々の支払いが少なくて済むというわけ。残価率は中古車人気が大きく反映され、信頼と実績があってこそ高まる。

中国メーカー同士の戦いも

現時点で残価率がいいのは断然トヨタだが、日系ブランドは概ね高く、中国系ブランドはどうしても低くなってしまう。その結果、中国車は「新車価格が安くても毎月の支払いは高い」ということになる。

そこをどう解決していくかが、インドネシアにおける中国車シェア拡大のキーとなるだろう。単に「新車価格が安い」というだけでは、ダメなのだ。

もちろん、中国メーカーの中にもブランド力や販売力の差はあって、その点においては中国国内やグローバルと同様にBYDがややリードしている。

BYDは中国ブランドの中では圧倒的に広いブースで出展していた(筆者撮影)
BYDは中国ブランドの中では圧倒的に広いブースで出展していた(筆者撮影)

「今回、モーターショーに参加したすべての中国ブランドが、インドネシアで生き残れるとは限らない。数年後には明暗がはっきりわかれるだろう」といった声が、現地の自動車関係者からも聞かれた。

いま、東南アジアだけでなく、インドやアフリカでも同様のことが起こっている。守る日本メーカーと攻める中国メーカー。そこに挟まれた韓国メーカーはどう戦うか……。日本車の将来を占ううえで、それらの地域から目を離せない。

【写真】インドネシアのモーターショーで見た最新の中国メーカー車たち(41枚)
工藤 貴宏 自動車ライター

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くどう たかひろ / Takahiro Kudo

1976年長野県生まれ。大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員へ。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。新車紹介を中心に使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショー取材など広く雑誌やWEBに寄稿する。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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