タイの新車市場におけるEVシェアは、2023年後半以降10%を超え、10%台前半で推移している。日本とは比較にならないほどEV販売比率が高く、その中心が中国メーカーというのが、タイの現状である。
筆者はEV推進論者ではないが、さすがにシェア10%を超えてくると、顧客が求めるEVを提供できないのはビジネス的に厳しいと思う。
EVの投入で中国勢に後れを取った日本車がどこまで踏ん張れるかが、タイにおける新車市場で注目すべきポイントである。
何を隠そう、そんな状況が起きているのはタイに限らない。これまでタイ同様に日本車比率が高かったインドネシアもそのひとつだ。
なぜ、中国メーカーは東南アジアを狙うのか?
筆者は2024年7月にインドネシア・バンテン州の都市タンゲランを訪れ、「GIIAS2024(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2024)」と呼ばれるモーターショーを視察したのだが、会場の様子はコロナ前とはすっかり様変わりしていた。中国ブランドの出展が、大幅に増えたのである。
中国ブランドとして最大のブース面積を誇るBYDをはじめ、GWM(グレート・ウォール・モーター=長城汽車)、AION、ウーリンなどの中国系ブランドの乗用車ブースは、11にものぼる。
総面積こそ日系ブランドにはかなわないものの、数でいえば日系ブランドの9ブース(トヨタとレクサスは別カウント)よりも多い。
インドネシアにおける日本車のシェアは、84.2%(2023年)。中国車のシェアはまだ高くないが、こうしてインドネシアのモーターショー会場を歩いていると“日本車の聖域”が、どんどん浸食されていることを実感する。
中国のメーカーは、インドネシアでも日本車を駆逐しようと鼻息が荒いのだ。では、どうして中国メーカーは、東南アジアの自動車マーケットを狙うのか。
ひとつは、北米やヨーロッパと違って、東南アジアには“地場の有力自動車メーカー”が存在しないからだろう。プロトン(マレーシア)やヴィンファスト(ベトナム)はあっても、ブランド力は高くない。
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