「ブラック研修」を否定しきれない20代男性の本音 研修は朝6時から深夜1時までで、休憩はなし

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「めちゃくちゃ感極まってたんですよね、あのときは」。ヨウヘイさんが夢から覚めたような表情で打ち明けた。

こんな“昭和の遺物”のような研修がいまだにあるのか――。話を聞きながら、私は絶句した。

残業代の未払いにパワハラ、退職強要

研修を終えたヨウヘイさんはどうなったのか。

会社の主な事業は企業を対象にしたPR業務の代行。ヨウヘイさんは受注金額ベースで月300万円のノルマを課され、日中は営業電話をかけまくった。

定時になると上司の指示のもと、社員らはパソコンに退勤時刻を打ち込んだ後も仕事を続けた。違法なサービス残業である。ネットなどで調べた企業の電話番号リストを作成し、企業の問い合わせフォームから営業メールを送るなどして、実際の退社は午後11時近かった。週末も働いたが、休業手当はなし。それどころか、週明けには何件メールを送付したかといった報告を求められた。給料は手取りで19万円ほどだったという。

余談だが、当時は新型コロナウイルスの感染拡大の真っただ中。にもかかわらず、「社長に顔を見せないのは失礼」という理由でマスクの着用は禁じられた。

一方で入社直後のヨウヘイさんはノルマを達成することができなかった。すると、上司がヨウヘイさんの背後に立ち、時折、手に持った定規で机をベシベシとたたくようになった。仕事ぶりを監視される中、社長も加わり、「これじゃあどこに行っても通用しないぞ」「親のしつけが悪い」「給料に対して何も還元できてない」と責め立てられたという。

その結果、ヨウヘイさんは3カ月で胃潰瘍になる。医師からは「今すぐ会社を辞めるように」と言われた。会社に「休職したい」と伝えると、人事担当者から「だったら辞めたほうがいい」とその場で退職届を渡され、上司からは「ストレスを発散できないお前の責任」と突き放された。ヨウヘイさんは同僚たちの前で「仕事に穴をあけてしまい申し訳ありません」と謝罪をし、退職届にサインをしたという。

公務員の父親とパート勤務の母親という「ごく普通の家庭で育ちました」と話すヨウヘイさん。家族関係は良好だったが、大学を卒業して一人暮らしを始めた以上、親には頼りたくなかったという。

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