「ブラック研修」を否定しきれない20代男性の本音 研修は朝6時から深夜1時までで、休憩はなし

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ヨウヘイさん
いわゆる“ブラック研修”で理不尽に罵倒され、「周囲の期待にこたえよ」という価値観を刷り込まれたヨウヘイさん。厳しいノルマや異様な長時間労働の末に早々に退職したが、今も「あの研修を受けてよかったと思うこともあります」と振り返る(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

入社前の研修で行われた「大声バトル」

「ぐおぉぉ!! おはようございますっっ!」「おーはーよーご・ざ・い・ま・すぅぅぅ」

関東近郊の人里離れた山奥。ぽつんと建つ合宿所に隣接する空き地で、40人ほどの若者が輪になっている。その中の2人が中心に進み出て大声を張り上げ合う。すかさず講師と思われる男が「がんばっていたと思うほうに手をあげろ!」と怒声を放つ。

若者たちの挙手によって勝敗がつくと、男が“敗者”に向かって立て続けに罵声を浴びせる。「会社の金を無駄にしてんじゃねぇ!」「もう学生じゃねーんだぞ!」「だからお前はダメなんだ!」。

最初はためらい、恥ずかしがっていた若者たちの「おはようございます」は次第にエスカレートしていく。息が続く限りわめき続ける人、泣き崩れるように叫ぶ人、地面をのたうち回りながら絶叫する人――。

名付けて「大声バトル」。異様な光景は都内のある会社による入社前の研修の一場面だ。3泊4日の期間中、バトルは何度も繰り返された。5年ほど前にこの研修に参加したヨウヘイさん(仮名、29歳)が振り返る。

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