「ほとんどの人は怒られる恐怖からやっていました。そういう僕もこのバトルで1位を取ったんですけど……」
ヨウヘイさんによると、研修は、数社の中小企業が合同で社員研修を担う会社に依頼して実施。合宿所に着くと4、5人のチームに分けられた。和気あいあいとした空気が一変したのは、5分以内にチームの名前やスローガンを決められなかったことに対し、研修を主催する会社の社員から突然「ふざけんじゃねー!」と怒鳴りつけられてからだという。
研修では、レゴブロックの組み立てやパズルなどの課題も出された。そして1位以外のチームは「社会に出たら1位じゃないと意味ないんだよ!」「この恥さらしが!」と罵倒される。
研修は朝6時から深夜1時までで、休憩はなし
また、かつて流行した「マルモリダンス」の振り付けの抜き打ちチェックもあった。研修は朝6時から深夜1時までで、休憩はなし。睡眠時間を削って練習するしかない。明け方近くまで、かわいらしいダンスを能面のような表情で踊る若者たちの姿が合宿所のあちこちで見られた。
この間、数人が過呼吸や脱水症状で救急車で運ばれた。ヨウヘイさんも体中にじんましんが出たという。一方で参加者たちは「負けちゃってごめん」「絶対に勝ち抜くぞ」と言い合うなど、次第にある種の連帯感や闘争心も芽生えていった。
研修のクライマックスは最終日の50キロ歩行。慣れない山道でマメがつぶれたのか靴下が血で真っ赤になっている人や、泣きながら歩く人もいた。ヨウヘイさんは途中から歩けなくなった女性を背負ったという。しかし、目標タイム内に踏破できた人はゼロ。
ゴールでは、それぞれの会社の先輩たちが出迎えるという“演出”があった。講師の男から「お前たちは応援してくれた人の期待に応えられなかった!」と言われたヨウヘイさんは気が付くと「こんな体たらくをお見せして申し訳ありませんでした!」と頭を下げながら号泣していたという。
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