任天堂岩田社長の圧倒的な「経営者としての器」 経営者・マネージャーに求められる絶対的条件
私たちの会社も、マネージャーに求める資質として、上司が白を「黒」と言えば、「黒ですね」と同調するのではなく、建設的にコミュニケーションをして、より良い着地点を探れるかどうかを大切にしていますが、実際には、無意識の忖度が発生してしまいますし、難しいものです。もし、レジーさんのような人が、今入社してきたら、社内がかなり荒れる気がします。
本書内では、岩田さんをはじめ、任天堂の幹部の方々が、レジーさんと英語でディスカッションされている光景がたびたび描かれています。レジーさんの視点を通じて任天堂の経営陣の優秀さもひしひしと伝わってくるのですが、こうしたしっかり活躍できる陣を張れる、頭数がそろっているというポテンシャルの大きさも、任天堂の強さの秘訣なのだろうと感じました。
意思決定は「いち消費者」である自分1人
本書では、レジーさんが、重要な最終決定の決定権は、1人の人間だけが持つべきだということを書かれています。
私の場合も、クリエイティブディレクションを、人とは分担しないということを自分のルールにしていて、共通しているなと思いました。
社内では、もちろん皆さんにヒアリングしますし、良いアイデアは採用していますが、アイデアに対する意思決定は、基本的にすべて私が下すようにしているのです。
ホテルは、1つのプロジェクトに対して、数億、数十億というお金がかかります。クリエイティブディレクションを分担してしまうと、その責任を取り切れなくなるのです。
「みんなが良いと言うから、それをやってみようか」という他人任せな感覚では、誰に刺さるのか誰もわからないプロダクトが生まれてしまいます。
少なくとも、自分がいち消費者の立場として、このプロジェクトにわくわくできるのか、この空間に行ってみたいと思えるのかという感覚を持つことのほうが大事だと思うのです。
私の役回りは、予定調和的な仕事をするのではなく、原点に立ち返って、消費者の気持ちになってプロジェクト全体を見直すような提案をすることだと思っています。
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