「灘→東大」3兄弟の子育てに学ぶ5つのコツ 生活動線を変え、母は受験勉強の秘書になる

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勉強のやりかたも、過去問は本番と同じ形式にプリントしなおしたものを25年分コピーするとか、何月までに何回回すとか、スケジュールを立てるなどの雑用はすべて母親の役目です。採点は母親で、その間も子供はどんどん先に進み、間違った点だけを、本人が後でやり直す方法です。ノートの取り方もすべて母親が編み出した方法で、膨大な参考書や問題集も、ほとんどは母親の選択に従ったものでした。

勉強嫌いな息子を持った母親としては、信じられない光景ですが、佐藤家にはその下地がありました。佐藤さんは子供さんが小さい時から、散歩の時はいつも、図鑑をもって、お花の名前などを調べていたそうです。絵本1万冊も同様で、母親と一緒に学ぶことが日常的なことでした。その延長が18歳まで伸びただけのことかもしれません。

母親の熱意と愛情と、子供の東大理IIIへの強い目標がうまくかみ合い、二馬力にも三馬力にもなった最高のチームワークの勝利だったと思われます。

佐藤さんから学べることとは?

このような二人三脚は、母親も子供さんも優秀だからこそできた方法だと、思われる方が多いでしょう。私もそう思います。しかし私たちのような多くの普通のお母さんにも、育児の参考にできるもっとも優先順位の高いものを考えれば、前述しました「知識を得る楽しさを教える」「幼少期から活字に慣れさせる」「親子のチームワークで勉強する」の3点に加え、以下の2点を挙げたいと思います。

1・生活動線を変えよ~テレビを遠ざけ、居間を勉強部屋に

佐藤家は、4人兄妹の机はすべて居間にあって、キッチンとの間にこたつを置き、勉強と勉強の間の食事時間は、そのこたつで食事をされたそうです。食事中も、そのこたつ机で勉強を続ける子や、暗記を親が手伝う時間にする子など、さまざまです。それでもそれが日常で、雑音を気にする子はいなかったそうです。

そして佐藤家では、テレビを2階の一番使いにくい部屋に置きます。テレビ画面を見るのは、佐藤家では非日常で、わざわざ2階の部屋へ上がって行かなければならない生活動線でした。つまらないテレビ番組をみるのは、家に悪い客を招き入れたのと同じくらい意味がないと言った人がいますが、全く同感です。

受験生が受験時代にテレビをみなくてもまったく困らないのに、それを生活の中心の居間に置くことの愚かさを、遅ればせながら思い知った次第です。家に帰ってくれば、まず居間に入ります。その居間を勉強部屋とすれば、居間にいる限り、勉強より他にすることはありません。そして母子でいつも、その部屋で勉強するのが、日常になります。

どちらかといえば勉強をすることが非日常の息子と共に、親子で居間のテレビ(主に笑点)ばかり見ていた私は、恥ずかしい限りです。

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