学生が新卒一括採用にこだわる会社を忌避する訳 優秀な人材ほど中途採用の一本釣りに

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戦後、日本企業では、職能資格制度が広く普及しました。職能資格制度では、年齢とともに経験を積んで能力が上がる想定で、新入社員から年ごとに昇給し、役職が上がるという年功序列の運用が行われました。この年功序列が賃金・役職だけでなく、定年制・教育訓練・福利厚生などあらゆる人事関連制度につながっています。

近年、多くの日本企業がジョブ型雇用を取り入れています。ジョブ型雇用では、ある特定のジョブ(職務)を誰がやるかというだけで、新卒も中途も、年齢も関係ありません。

同じジョブを担当する限り年次が上がっても賃金も役職も変わりません。ジョブ型雇用は、従来の新卒一括採用から連なる年功序列の人事関連制度とはまったく相容れません。

新卒一括採用の停止は非現実的?

では、今後はどうなるのでしょうか。今回、回答者の多くが、新卒一括採用のメリットは大きく、今後も人材採用の中心であり続けると予測していました。

「今後ますます人手不足が深刻化します。生産拠点も本社も海外に移すというならともかく、国内の事業を維持するという前提に立つなら、社員数を確保するための中心的な手段として、新卒一括採用は維持していくべきだと思います」(機械)

「この数年、幹部や幹部候補を積極的に中途採用してきましたが、定着しなかったり、プロパー社員との軋轢があったりして、うまくいっていません。組織の中核で活躍する人材は新人から育てていくという方針に戻り、数にはこだわらず優秀な学生を採用しようと取り組んでいます」(食品)

また、新卒一括採用の限界を痛感しているものの、実際に停止するのは困難だという意見もありました。

「新卒一括採用はジョブ型雇用と相性が悪く、できれば停止したいです。ただ、実際に停止するとなると、頭数の確保が困難ですし、職能資格制度をベースにした人事関連制度を抜本的に見直す必要があります。雇用維持の社会的な要請もあり、ちょっと現実的ではないという気がします」(エネルギー)

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