「臨月で被災」「分娩中に余震」「出産難民」の壮絶談 妊娠・出産中に被災した人の体験談から学ぶ

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家族全員大きなショックを受けていましたが、臨月だった私の一番の不安は、無事に出産できるのか、病院は被災していないのか、ということ。あれほど待ち望んでいた出産が急に恐ろしく思えました。そんな状況の中、設備がない被災後の病院で、予定日どおりに出産。安産で安心しました。この子の顔を見ることができたのは、祖父の判断のおかげ。家族全員生き延びるには災害への知識と備えが必要だと感じました。

余震が続く中で出産

緊急用電源を利用して、余震が続く中で出産することに。ベッドが揺れ、薄暗くてとても怖かった(35歳妊婦)

東日本大震災で被災したのは、妊娠10カ月のとき。もういつ生まれてもおかしくない状況でした。実母は体調が悪く、夫の実家も遠いため、産後ヘルプサービスや民間の産後ケアを利用しようと思っていました。地震のあとすぐに病院に電話をしたところ「産気づいたらすぐにきてください」とのこと。「電気や水道は緊急用のものがありますから」と言われましたが、不安でいっぱいになりました。

被災から1週間後に産気づき病院へ。病院の中は、緊急用電源を使用していたので、薄暗く、水やお湯もほんの少ししか使えない状態。「これで出産できるのだろうか」と不安で涙が止まりませんでした。ただ、病院がひとまず無事だったこと、よく知っている医師や看護師さんがそばにいてくれたこと、同じように入院した他の妊婦さんとはげまし合えたことは、心の支えになり、出産に向けて前向きな気持ちを取り戻すことができました。

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