対話の現場/指導者か対話者か 対話の現実と限界

「それぞれが精いっぱいの答えだとしたら、相手の世界観は明瞭だ。ここで重要なのは、相手の世界観を変えようなどと『余計なお節介』はしないこと。『上司に言われたから』と答える相手には、『上司が言ったのだから従うように』と指示すればよい。それがコミュニケーションを成立させるということなんだ」

何とも現実的ではあるが、あまり教育的ではない発想である。

コミュニケーションにおいて、自分と相手が「何」と「なぜ」を共有しているかどうか。これが成立の最低限の要件であるという。私たちは当然のごとく共有していると思いがちだが、意外なくらい共有していないものであるというのだ。

これは対話以前の問題である。コミュニケーションが最低限成立していないことには、対話が成立するわけもないからだ。

造船王によれば、「対話に値する相手」であるためにはもう一つ要件があるという。

それは「『なぜ』に『なぜ』を重ねる力」があるかどうか。

「なぜ」を問うことにより、当然の推論を共有しているかどうかがわかる。ただ、推論を共有していたとしても、その推論自体に「なぜ」を投げかけられるかどうか。疑問を抱けるかどうか、ということだ。

「たとえば、大幅な経費節減が話題になると、必ず『6基ある作業用エレベーターのうち5基を止めてしまえ』というような、極端な意見が出てくる。『不便を我慢しろ』という精神論で、効率を無視した話ではあるが、その点はおいておこう。

ここで、『なぜエレベーターを止めるんだ』と聞けば、誰もが『電気代を節約するため』と答えるだろう。当然の推論だね。だが、ここで満足してはいけない。疑問を持たないといけないんだ。現場では、60名を50メートル上まで上げなければならない。1基のエレベーターで10名ずつ6回で上げるのと、6基でいっぺんに上げるのとでは、どちらが電気代の節約になるんだ?」

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