土壇場での文言修正、東電「調査報告書」の曲折

土壇場での文言修正、東電「調査報告書」の曲折

「東京電力が形のうえで債務超過でないと認識せざるをえなかった。債権放棄を強く求めるべきと、到底、書けるものではない」

東電の資産査定を行っていた経営・財務調査委員会。3カ月間半の作業を経て10月3日に政府へ提出した報告書の発表会見で、下河辺和彦委員長(写真右)は銀行に対する協力要請についてこう考えを述べた。

原発事故で巨額の賠償責任を負う東電が国の資金援助を受けるには、リストラを盛り込んだ事業計画の策定が必須。同報告書はそのたたき台となる。また、国から資金援助を受けるうえで、8月に施行された原子力損害賠償支援機構法は、株主や金融機関などステークホルダーに協力を求めるよう規定している。それだけに、調査委の見解は従前から注目を集めていた。

報告書では金融機関への要請で、一般論として借入金の残高維持など複数の方法を列挙。一方「債権放棄又は債務の株式化を要請することは困難な状況にある」と明記した。

報告案に異なる記載

しかし、「委員会報告(案)」と題された内部資料をめくると、「債権放棄又は債務の株式化を要請する余地も否定することはできない」と表現が異なる。後に続く、『まとめ』の部分でも報告書は「過小資本の解消の必要性等に基づいて(中略)支援機構が判断すべき」とあるが、「案」だと「債務超過又は過小資本」になっている。

関係者によれば同案ができたのは9月28日。つまり、文言は土壇場で修正・削除されたわけだ。協力要請を大きく左右する債務超過の認識で“迷い”が見られる原因は、東電を「資産超過」と判断した前提条件にある。

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