変質した「3中全会」にみる変わりゆく中国政治 中央委員会の地位低下や対台湾立法措置に注目

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第4に、中台関係に関し、20・3決定に示唆される中国側の今後のありうる動きとして、中台関係を規律する新たな法制化や関連法制の見直しが図られる可能性がある。

「中国式現代化」のための「改革の全面深化」

今回の3中全会が経済を中心テーマに据えない可能性の予兆は、開催前からあった。会議の開催日程と決議草案を話し合ったとされる2024年6月27日の党中央政治局会議について、新華社が事前に伝えた「20・3決定」の骨子案では、経済的な論点にほとんど言及していなかったからだ。

「20・3決定」の正式名称は、「改革のさらなる全面的深化と中国式現代化の推進に関する中国共産党中央の決定」という。ここでいう「中国式現代化」の趣旨は、基本的人権の保障を含む欧米諸国の歴史経験に由来する近代化モデルを拒絶し、中華人民共和国の独自の発展コースを追求することにある。2022年8月には習近平名義で関連論文が発表され、同年10月の20回党大会では、「中国式現代化によって中華民族の偉大な復興を全面的に推進すること」が今後の「中心任務」と宣言された。トップ肝いりの政治スローガンである。

3中全会での習近平氏による説明演説によれば、「20・3決定」で規定された「改革のさらなる全面深化」の内実は、この「中国式現代化という青写真を現実のものに変える」ために必要な制度や仕組みの整備にほかならない。「中国式現代化」が目的で、「改革の全面深化」はその方法という関係である。

このうち改革を通じた成長は、有力だが複数ある手段の1つにすぎない。事実、表1のとおり、20・3決定には多様な施策が盛り込まれ、個々の政策分野には、まるで言葉遊びのように「中国式現代化」との関係性が羅列されている。

3中全会の内容一覧

だが、歴史を振り返ってみれば、習近平政権下での3中全会の「経済」の重要性の低下は、今回に始まったものではない。それは、2012年の第1期政権の発足以来、過去10年以上に及ぶ継続した流れであった。

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