起こるべくして起きた「円高」はどこまで進むか 米利下げ・日利上げで「円売り投機」が巻き戻し
2年余りの円安局面がようやく終わるのかーー。日米中央銀行の会合を控え、金利差が縮小に向かうとの観測から10円近く円高が進んだ。今後を考える際に欠かせないのは根底の構造への視点だ。
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ドル/円相場の乱高下が続いている。1週間で162円付近から152円割れまで、約10円も急騰した円相場だが、7月25日に発表されたアメリカの4~6月期GDPが予想比強い数字となったことを受けて一時154.70円台まで値を戻している。
過去の本欄でも重ねて論じてきた点だが、今次円安局面で最大規模まで膨れ上がったショートポジション(円売りから円買いを差し引きしたネット、以下同)、実勢相場と日米金利差の乖離、そしてキャッシュフロー(CF)ベース経常収支の顕著な改善がそろっていた2024年初来の円相場の状況を踏まえれば、投機的な円売りの持ち高調整の動きは不可避であった。
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筆者はハウスビューにおいて7~9月期の下値は「156円」と設定していた。これは大きく下抜けてしまったが、円高相場自体はまったく想定外ではない。
需給からも円安圧力は減退
特に需給要因を重視する筆者の立場に照らせば、CFベース経常収支がおおむね均衡にある事実を踏まえ、円安相場が一方的に続く難しさは感じていたところであった。
ちなみに筆者が試算するCFベース経常収支は2024年1~5月合計で1.4兆円の赤字だが、2023年同期は4.5兆円の赤字、2022年同期は3.6兆円の赤字だった。
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赤字であることに変わりはないものの、需給環境が改善方向にあることは間違いなく、短期的な円安圧力の減退を認めてもよい時間帯に入っているというのが筆者の基本認識である。
もちろん、それでも過去に比べればCFベース経常収支における黒字幅が切り下がっていることに疑いの余地はなく、110円付近まで戻るのも困難ではある。だが、後述するように、投機的な持ち高調整に従って130円台まで至る可能性は残されている。
このあたりは日米金利差の限界的な縮小幅次第と言わざるをえない。
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