アメリカ経済は7月の雇用統計が市場予想を下回るなど景気悪化への懸念が出始め、日経平均は急落。日銀の利上げもあり円高ドル安が進んだ。11月に大統領選挙も控え、アメリカ経済は今後どうなるのか。
――今回のFOMCの結果をどう見ますか。
FOMC後の記者会見でパウエル議長は、インフレ減速に向けた自信が高まったことを強調するとともに、雇用環境の急激な悪化に関して注意深く見守るというようなスタンスを示した。これはインフレ高止まりのリスクと、雇用環境悪化のリスクがより均衡しつつあることを意味する。
こうした景気・インフレ判断のもとで、利下げはデータ次第という前提は維持しつつも、早ければ次回9月のFOMCで利下げが選択肢となりうると述べている。
9月利下げ言及で最大限の配慮
市場の中では、9月のFOMCでの利下げに向けて明確なフォワードガイダンスが欲しかったという声もあった。しかし、FOMCとしてはインフレ減速に向けて進展が見られている一方で、高止まりのリスクの有無を慎重に判断する必要がある。その中でも、パウエル議長が9月の利下げの可能性を指摘したことは、市場に対して最大限の配慮を示したといえるだろう。
――インフレや個人消費が減速し、金融市場では、年内にFRBが複数回利下げすることへの期待も出ています。FRBと市場のそれぞれの先行きの見通しについてどのように評価されますか。
9月のFOMCでの利下げ可能性が示唆されたことで、市場の注目は利下げのペースに移った。これに対し、パウエル議長は、どのようなペースで利下げを進めていくかは本当に経済のデータ次第であり、不確実だと記者会見で述べている。
そもそも6月のFOMC時点で、参加者のFF金利予想は、2024年内の利下げ幅は25ベーシスポイント(0.25%pt)であり、9月に利下げを実施すれば、その後は据え置きということになる。仮に2024年内に0.25%ptの利下げが2回以上行われるとすれば、FOMC参加者が想定する以上にインフレが減速しているか、雇用環境が冷え込んでいることが前提となるだろう。
例えばPCE(個人消費支出)価格指数に関しては、FOMC参加者による2024年10~12月期のPCE価格指数見通し(中央値)は前年同期比+2.6%だ。4~6月期の実績値は2.6%と、すでにFOMC参加者による見通し(中央値)と同等となっている。
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