日本株も急落、アメリカ経済は悪化傾向強まるか インフレ最終局面、年内複数回の利下げか注目

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2024年10~12月期までPCE価格指数が1カ月当たり前月比+0.2%程度で推移すれば、このまま中央値を達成できることになる。言い換えれば、1カ月当たり前月比+0.2%よりも伸び幅が小さくなれば、FOMC参加者が想定する以上にインフレ減速が進んでいることになり、2024年内に0.25%ptの利下げが2回以上となることも想定され得るだろう。

失業率4.3%で利下げ回数増か

雇用環境に関しては、6月のFOMC時点でFOMC参加者による2024年10~12月期の失業率見通し(中央値)が4.0%となっている。4~6月期の失業率の実績値は4.0%となっており、すでにFOMC参加者の見通し(中央値)と同等まで上昇した。失業者数の四半期当たりの増加ペースが前期差+8万人程度であれば、10~12月期においても失業率は4.0%程度となる。

他方で、失業者数の四半期当たりの増加ペースが前期差+16万人程度(2024年1~3月期、4~6月期の平均増加ペース)、+31万人程度(4~6月期の増加ペース)となれば、10~12月期の失業率はそれぞれ4.1%、4.3%とFOMC参加者の見通しの中央値を上回ることになる。

失業率が4.1%にとどまれば、FOMC参加者の想定内といえるが、直近の失業者数の増加ペースが続き、失業率も4.3%まで上昇するような兆しが見られれば、少数のFOMC参加者しか予想していない水準ということになる。7月の雇用統計で失業率が4.3%まで上昇したことは、2024年内の利下げ回数を増やす根拠となり得るだろう。

大和総研、矢作大祐主任研究員
やさく・だいすけ/2012年、大和総研入社。2013~2015年、財務省国際局国際機構課に出向。2016~2017年、中国国務院傘下の中国社会科学院金融研究所に訪問研究員として在籍。2017年に大和総研に帰任し、金融・資本市場調査担当を経て、2019年からニューヨークに駐在。2023年12月に帰任し、現職 (写真:大和総研)

――今回のFOMCとその後の会見の内容につながった足元のアメリカ経済や今後の注目点は何でしょうか。

アメリカ経済は大幅な景気悪化を経ずにインフレが減速していくという、ソフトランディングに向かって進展している。CPI(消費者物価指数)やPCE価格指数は4~6月期におおむね減速した一方で、先週公表された4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%と堅調な伸びを示した。

民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)が同+2.6%となり、内需主導で景気は堅調と判断できる。そのため、利下げを急ぐほどの景気悪化の兆しは見られない。むしろ、7月に利下げを判断しようものなら、景気悪化が非常に近いことをFRBだけが知っているというような印象を市場に与えてしまうだろう。

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