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市場の3月利下げ説は不発、FRBが悩む不確実性 景気いいままインフレ落ち着くかの特殊な状況

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FOMCとその後の会見を受けて株式市場は下落した。タカ派にみえるFRBの姿勢の背景とは。

会見に臨むFRBのパウエル議長
3月利下げについて言質を与えず、金融引き締めの粘り強さを強調したパウエル議長(写真:Pete Marovich / The New York Times)
インフレが落ち着き始めているが経済は堅調が続くアメリカ。FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は1月30~31日のFOMC(連邦公開市場委員会)で粘り強く金融引き締めを続ける姿勢を強調した。一方で、赤字決算を出す中小銀行もあり、金融システムへの負荷が続く状況へ懸念の声もある。
今回のFOMCの内容や決定の背景、今後のアメリカ経済の動向をどう見ればよいのか。アメリカ経済が専門で2023年までニューヨークに駐在していた大和総研の矢作大祐主任研究員に聞いた。


――今回のFOMCの結果をどう見ましたか。

エコノミストとしてはサプライズがない内容だ。これまでFRBは、景気の先行きの主要リスクとして拙速な利下げによるインフレの高止まりリスクを挙げていたが、今回はそれとともに利下げへの転換が遅れて景気が過度に悪化するリスクがあり、両者が拮抗しているとした。利上げから利下げへ、という過程に向けて着実に準備をしていることを示す表現だ。

市場の一部では3月の利下げやそれに言質が与えられることが期待されていたようで、FOMC直後に株式市場が下落する要因になった。一部で期待が高まった背景には直近に発表された経済指標でインフレが落ち着いてきていたからだ。

たとえば12月のPCE(個人消費支出)価格指数は前年比2.6%増、コアPCE価格指数も同2.9%増でともに2%台まで低下した。さらにそれぞれの指数の3カ月前比年率換算値、6カ月前比年率換算値は2%以下だった。そのため、3月利下げへの期待が高まった。

ただ、債券市場では10年債金利が4%超だったものが、3.9%に下がったほか、為替でも円安が進まなかったように、決して今回のFOMCがタカ派だと市場全体が思ったわけではない。全体的にいえば金融市場も冷静に受け止めたといえる。

――経済指標ではインフレ鈍化が確認できそうですが、FRBの声明文には「より確かな自信を得るまで利下げは適切ではない」との表現が入りました。

さらにインフレが加速するとは考えていないようだが、景気がいいこと、雇用も引き締まっていることからインフレ高止まりの懸念があるのだろう。財価格ではディスインフレが続き、上昇率が0%近辺になったが、サービス価格では原則のペースは緩やかだ。今後インフレを押し下げるにはサービス価格が重要で、インフレが減速しにくくなるとも考えられる。

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