世界的な半導体需要の増加に応えるべく、東京エレクトロンが規模拡大を進めている。足元で約1.7万人の従業員数を、今後5年間でさらに1万人増やす方針だ。半導体人材の確保に向けて力を入れるのが人材採用。新卒学生からの応募が急増する中、驚きの「社員研修」に記者が潜入した。
「東京エレクトロンはなぜ負債を活用しないのでしょうか。負債比率が上がれば、目標として掲げているROEも上昇するはずだと思います」
5月初旬、半導体製造装置メーカー大手の東京エレクトロン(TEL)の東京・赤坂本社。冒頭の質問に対し、同社IR室長グローバルヘッドの八田浩一氏は「半導体市場のボラティリティが高かった1990年代後半は、融資を受けづらかった。その記憶もあって、借金に対しては保守的なのかもしれない」と答えた。
これは、機関投資家やアナリストとのやり取りではない。今年4月入社の新入社員を対象とした、社内研修でのやり取りである。この日は「IR研修」が行われていた。TELの時価総額は国内の全上場企業の中でも、屈指の約14兆円。「社会から自分の会社がどう見られているのかを、入社時に学ぶ研修として4年前に導入した」(人事部の高坂暁博氏)。
前出の八田氏は「コロナ禍の半導体不足をきっかけに業界が注目を浴びるようになり、この数年は新入社員からの質問のレベルが本当に高くなった」と話す。
人材育成は喫緊の課題
過去20年にわたり凋落が続いてきた日本の半導体業界。半導体メーカー全体の従業員数は2019年に国内6万人となり、20年で半分以下まで減少した。
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