「昔の武田とは様変わりした」。元社員らがそう語るほど、老舗製薬会社の姿を大きく変貌させたウェバー体制。その成果と課題を検証する。
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「武田は日本企業の中で飛び抜けてグローバル化を果たした。もちろんまだまだやることはあるが、非常にいい方向に進んできた。今は本当にエキサイティングな状況だ」
国内製薬最大手、武田薬品工業のクリストフ・ウェバーCEOは今年、就任10年目を迎えた。7月に実施した東洋経済のインタビューで、ウェバーCEOはこの10年の成果を振り返り、冒頭のように胸を張った(インタビュー全文はこちら)。
フランス出身、創業240年以上の歴史を持つ武田にとって初の外国人社長。外部からの登用ということもあり、2015年の就任当時は社内外から「10年もやるわけない」(元武田社員)といった声が相次いだ。
そして10年目に突入した今、本人は「『10年で(一区切り)』というような考え方はしていない」と強調する。経営に対する意欲は、まだまだ健在なようだ。
時価総額では国内3位に陥落
しかし、自信を深める経営陣とは対照的に、周囲のまなざしは厳しい。
6月26日に行われた株主総会では、ウェバーCEOに対する株主らの不満があらわになった。同氏の取締役再任に対する賛成率は昨年の95.69%を大幅に下回り、76.22%に低下した。
総会直前には、アメリカの議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ・インク(ISS)が、ウェバーCEOの再任と取締役の賞与に関する議案への反対を推奨していた。ISSは、武田の直近のROE(自己資本利益率)が5%を下回っていることを問題視した。
2015年には6000円前後を推移していた株価は、足元では4000円台前半を推移する。売上高(2024年3月期は4兆2637億円)では国内製薬業界の中で首位を維持する一方、時価総額ではこの10年の間に首位から3位へと陥落。第一三共(2024年3月期売上高は1兆6016億円)、中外製薬(2023年12月期売上高は1兆1113億円)の後塵を拝している。
経営陣と株式市場の評価の隔たりは、グローバル化を急ぐ中で武田が積み残してきた数々の課題を浮き彫りにしていると言える。
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