国内の主要部門と研究開発拠点で希望退職の募集を行うことを発表。武田関係者らが、今回のリストラを必然と受け止める理由とは。
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「多くの社員はある程度、リストラを想定していたと思う。パイプライン(開発品目)が次々に出てくる状態ではないし、従来の体制を見直す必要が出ているのは当然だ」
武田薬品工業は8月2日、国内事業の運営体制の見直しとともに、希望退職の募集を行うと発表した。対象は国内事業の主要部門であるJPBU(ジャパンファーマビジネスユニット)の社員のほか、湘南(神奈川県藤沢市)にある研究開発拠点の研究員にも及ぶ見通しだ。
国内での希望退職の募集は、JPBUのMR(医薬情報担当者)らを対象に行った2020年以来となる。再びのリストラに、武田の現役社員は冒頭の通り淡々と受け止める。
今回のリストラは、5月に発表された構造改革の一環だ。収益力が低迷する中、人員最適化や開発品目の絞り込みなどを進め、今後数年間でコア営業利益率(コア営業利益は、営業利益から無形資産の償却などを除いた数字)30%を目指すというもの。希望退職者の募集要件や規模などの詳細は、組合との検討を経て今後詰めるという。
武田の主要な研究開発拠点は、世界中の製薬企業の拠点が集まるアメリカ・マサチューセッツ州ボストンを筆頭に、同カリフォルニア州サンディエゴ、そして湘南研究所の3カ所ある。すでにサンディエゴの拠点閉鎖と、ボストンでの約500人規模のリストラが明らかになっていたため、湘南研究所の処遇が注目されていた。
“期待外れ”の状況に業を煮やし…
かつて、1000億円以上を売り上げた抗潰瘍薬「タケプロン」などを生み出してきた、武田の国内研究所。業界関係者や武田の元研究員らの間では以前から、その衰退ぶりを憂う声が上がっていた。それだけに、今回のリストラを必然の流れとみる向きは多い。
湘南研究所の前身は2011年、武田創業の地である大阪と、茨城・つくばにあった研究開発拠点を集約する形で誕生した。約1200人(当時)が働く一大拠点となり、グローバル研究体制の中心地になることが期待された。
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