中国半導体戦略、米国が見過ごした「脅威の火種」 業界のキーマンが語る「米中半導体摩擦」前夜

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サイバーセキュリティ法の内容の多くは、インターネット上のセキュリティの危険性をつみ取ろうとする至極まっとうなものである。ただし、「(中国にとって)重要な情報インフラを攻撃・破壊する国外組織や個人に対する処罰」をすると規定している点が、私は気になった。

もし将来、中国で「半導体は重要情報インフラである」と位置づけられ、中国が自国の半導体産業の競争力に自信を持ったらどうなるか。おそらく、外国企業が自社の中国工場から本国にデータを持ち出すことが許されなくなる。同様に、外国企業が中国半導体メーカーに納入した装置からもデータは抜き出せなくなるだろう。そう直感したのだ。

米国議会も早くから警戒していたが…

このころ、同じように、中国の動きをいち早く危険視したのが米国議会である。

中国の通信機器メーカーに安全保障上の脅威があると調査を開始し、2012年には政府に中興通訊(ZTE)製品に規制をかけるよう進言した。

しかし、このときの米政府の反応は鈍かった。

米国には「PCAST(President’s Council of Advisors on Science and Technology)」という諮問機関がある。イメージ的には大統領科学技術諮問会議といったところだろうか。

PCASTのメンバーは15人程度で、学者のほか、経済界からも加わるのがつねだ。年に数回会議を開き、政策のもととなる報告書を発表する。

いろいろな評価があるドナルド・トランプ前大統領だが、コロナワクチンの開発・供給計画「オペレーション・ワープ・スピード」は、間違いなく大きな功績だったといえる。まさにすさまじいスピードでワクチンをつくり上げたのだが、その背後にはPCASTの提言があったといわれている。

そんなPCASTで、「半導体の長期的な競争力を保つための方策」がテーマになったことがある。バラク・オバマ元大統領の2期目の終盤に当たる2016年のことだ。

このときは、世界第3位のファウンドリーであるグローバルファウンドリーズの社長だったアジット・マノチャ(SEMIの現会長兼CEO)や、インテルの第4代社長クレイグ・バレットなど、そうそうたるメンバーが招集された。

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