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中国半導体戦略、米国が見過ごした「脅威の火種」 業界のキーマンが語る「米中半導体摩擦」前夜

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  • 小柴 満信 JSR前会長、経済同友会経済安全保障委員会委員長
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このあたりから米国は、中国の半導体国産化計画の脅威にはっきりと気づいたのではないだろうか。

中国が世界の半導体トップになる脅威もさることながら、中国に最先端半導体が十分に供給されると、最新鋭の武器に使われてしまうリスクもある。実際、2022年4月にロシアの巡洋艦「モスクワ」が、3週間前に開発されたばかりのウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」2発で撃沈されたが、これも、半導体を使ったエレクトロニクスの精度が向上したことがミサイルの精度に直結していたのは間違いない。

米中半導体摩擦へ

そこから米国はたたみかけていく。2020年5月には、中国に対して、米国由来の技術やソフトウエアを使用して生産された半導体を輸出規制の対象とするよう制裁を強化する。

この動きに呼応し、TSMCがファーウェイに対して半導体供給の停止に踏み切る。同年に米国は、SMICをエンティティー・リストに追加し、オランダのASMLしか実用化していないEUV露光装置を輸入できない状態に追い込んだ。

ただここまではあくまで個別企業を狙った制裁にすぎなかった。

2022年10月7日、ついに中国全体を対象にしたともいえる制裁に踏み切る。

・AI処理やスーパーコンピュータに利用される半導体の輸出禁止
・最先端半導体の開発・生産にからむ設計ソフトウエアと製造装置の輸出も禁止
・成膜装置の輸出も米政府の許可が必要
・中国の半導体装置メーカー向けの部品・材料の輸出も禁止

中でも、日本、韓国、台湾、オランダなどから輸入していた半導体製造設備や設計支援ソフトウエアまで規制したのは決定的だった。実際、半導体生産設備に強い日本やオランダなどがこの規制に呼応し、禁輸の対象は半導体メーカーなど世界36社に拡大された。

「10月7日制裁」は、中国の最先端半導体の開発・生産を事実上不可能にする意図のものだったのだ。

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