半導体の国産化に躍起となっている中国。日本の進出企業は足をすくわれるおそれも。

(写真:coffeekai / PIXTA)
昨年来悪化していた半導体市況は早くも底打ちした。今世界規模で起きているのが、官民入り乱れた半導体工場の投資合戦だ。『週刊東洋経済』の10月2日発売号(10月7日号)の特集は「半導体 止まらぬ熱狂」。熱狂する半導体業界を取材した。日本でも、この局面を最大のチャンスと捉え、矢継ぎ早に戦略が打ち出されている。戦略物資と化した半導体の今に迫った。
「(中国という)巨大市場のサプライチェーンには組み込まれたいが、戦略物資でもある半導体では躊躇する。ジレンマだ」と、ある半導体関連ベンチャーの社長はこぼす。中国では現在、パワー半導体を軸に半導体関連の設備投資が相次いでいる。日本の関連企業からすると、チャンスの大きい中国市場には参入したい。が、進出後も安心して事業を継続できるかは不透明感が漂う。
中国では現在、政府主導で半導体のサプライチェーンの自国完結化が志向されている。ただ、米中対立が半導体にも及ぶ中、米国政府は最先端の半導体や製造装置を輸出規制の対象にした。中国はそれでも国産化推進の旗を降ろしておらず、必要な技術の入手に躍起になっている状況だ。
問題はその手法
問題はその手法だ。対中リスク事情に詳しい日本の政府関係者によれば、少々手荒なやり方が検討されているようだ。技術の入手とその後のサプライチェーン構築について、中国では次のようなシナリオが想定されているという。
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