米中対立構造の中で、経済安全保障上の「戦略物資」と化した半導体。日本はどう立ち回るべきか。業界に長く身を置き、経済安保にも詳しい小柴満信氏に聞いた。
昨年来悪化していた半導体市況は早くも底打ちした。今、世界規模で起きているのが、官民入り乱れた半導体工場の投資合戦だ。『週刊東洋経済』の10月2日発売号(10月7日号)の特集は「半導体 止まらぬ熱狂」。熱狂する半導体業界を取材した。日本でも、この局面を最大のチャンスと捉え、矢継ぎ早に戦略が打ち出されている。戦略物資と化した半導体の今に迫った。
──経済安全保障上、半導体が重要だと認識された経緯とは。
発端は2015年。中国が産業政策である「中国製造2025」を発表し、10の重点分野の1つに半導体を入れた。これが、米国を非常に刺激した。
その後、米大統領科学技術諮問委員会(PCAST)は半導体における中国の脅威についてホワイトペーパーを提出した。だが当時の世界はまだグローバリズムのさなかにあったから「中国に追いつかれないよう、先を走ればいい」という結論。半導体の重要性が強く意識されるようになったのは、コロナ禍に入ってからだ。
ラピダスで終わらず、エコシステムの形成を
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