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経産省「半導体逆転」に懸けた官僚たちの闘い ドキュメント「経産官僚たちの半導体戦争」

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コロナ危機を経て、経産省が本気に。

岸田首相と海外半導体トップたちの記念撮影の様子
G7広島サミットの前日、首相の岸田と海外半導体トップとの異例の会談が実現(写真:時事)

特集「半導体 止まらぬ熱狂」の他の記事を読む

昨年来悪化していた半導体市況は早くも底打ちした。今世界規模で起きているのが、官民入り乱れた半導体工場の投資合戦だ。『週刊東洋経済』の10月2日発売号(10月7日号)の特集は「半導体 止まらぬ熱狂」。熱狂する半導体業界を取材した。日本でも、この局面を最大のチャンスと捉え、矢継ぎ早に戦略が打ち出されている。戦略物資と化した半導体の今に迫った。
『週刊東洋経済 2023年10/7特大号(半導体 止まらぬ熱狂)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

霞が関用語に「原局」「原課」という言葉がある。省庁で特定の政策を担当する局・課のことだ。半導体政策にとっての原局は経済産業省・商務情報政策局(商情局)であり、原課は同局情報産業課(情産課)である。政府が突き進む異次元の半導体政策。そこには、傾いた産業の復活に懸けた、官僚たちの姿がある。

5月18日。台湾TSMC、米インテル、韓国サムスン電子など海外半導体大手のトップ7人がそろって来日し、首相官邸に岸田文雄を訪ねた。各社首脳は「対日投資への前向きな取り組み」を表明し、首相の岸田も歓迎の姿勢を強調した。世界の半導体トップが日本の首相を訪問することも、各社トップ同士が並んで写真に収まることも、異例だった。

省内でその準備に動き出したのは今年3月。2カ月後の5月19日から開催されるG7広島サミットの対応を議論していた。サミットでは史上初めて経済安全保障が議論されることが想定された。「経済安保の戦略物資は半導体。この機会を活用しない手はない、となった」と情産課長の金指壽(かなざしひさし)は話す。

異例のトップ会談の裏側

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