精神科医が解説「幸せを感じている60代」の共通点 悪い記憶から生じる感情をどう断ち切るべきか
記憶力がいい人が素晴らしいわけではない
今の世の中、忘れることが悪いことのように思う風潮があります。忘れっぽい自分を「私は認知症になっていくのではないか」と不安になる人も多いようです。しかし、加齢による物忘れは当たり前のことです。いざとなればスマホで調べたり、人に聞けたりできれば十分だと思います。
認知症になるかならないかで悩むより、私たちには自分の生をきちんと生ききるという使命があります。そのことをしっかり考えてほしいのです。
記憶力がいい人が素晴らしいかといえば、そうでもないことが多くあります。やっかいなのは、昔のこまごまとしたことを覚えていることです。人間は、忘れてもいいようなことを脳にため込んでいます。ふだんは忘れているのに、記憶を想起する出来事やモノに触発されて思い出し、心を乱されます。
私たちは多かれ少なかれ、自分の過去にとらわれています。嫌な記憶ばかりでなく、成功体験の記憶があなたの足を引っ張る場合もあります。成功体験にとらわれて、新しい方法にチャレンジできなかったり、プライドばかり高くて人との付き合いがうまくいかなかったりします。
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