精神科医が解説「幸せを感じている60代」の共通点 悪い記憶から生じる感情をどう断ち切るべきか
そうはいっても、なかなか忘れられないこともあります。それはたいてい、なんだか胸が痛くなるような悪い記憶だったりします。その記憶があなたの元気を奪っている場合があります。
記憶は心と強く結びあっています。もちろんすべて脳が行っている仕事なのですが、心は感情と考えてください。感情は脳にこびりつきやすいものなのです。
人間の感情はやっかいなものです。怒りや妬み、嫌悪などの感情をもち続けることは、あなた自身の人生をつまらなくさせる要因です。
ある男性は、中学生のときに無実の罪で教師から強く叱責され、弁明を聞いてもらえず、悔しい思いをしたことがあるそうです。それ以来、教師を信用しなくなって、反抗的になっていきました。
感情と事実を切り分けてみる
すでに30代となり今は落ちついて仕事をしていますが、いまだに学校というものが苦手だそうです。この男性が「こんど結婚をするのだけれど、子どもができたら、自分は学校とうまくやっていけないかも」と先のことを悩んでいました。
このように感情と事実が融合している状態を「フュージョン(fusion)」といいます。嫌な感情から、ひとりの教師のことを全体の教師像にしてしまっています。そのうえ、まだ生まれていない子どものことまで心配しています。
でもちょっと待ってください。そんなときは、感情と事実を切り分けてみましょう。若いとき、1人の気に食わない教師と出会ったために「教師なんて信じられない」と思い込んでいますが、人間にはいい人と悪い人がいます。気が合う人と合わない人がいると言ってもいいかもしれません。
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