精神科医が解説「幸せを感じている60代」の共通点 悪い記憶から生じる感情をどう断ち切るべきか

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そういうときに、試してほしい方法があります。自分の今の状態を第三者の語り口で語ってみます。

「また、Hさん(自分)のこの世で一番悲しい自分の話がはじまったよ」と語ります。そして「あなたは本当に不幸なの?」と問いかけます。

そこでHさん、事実を考えてみます。考えれば生活に困っているわけではありません。お店に来る常連さんたちはいい人たちで、仕事は楽しい。子どもたちは自立してきちんと生活しています。

気分が落ち込んだ原因を究明して対策

そして気分の落ち込んだ原因も探します。人それぞれ、あるパターンをもっている場合が多いのです。

Hさんの場合は、支払いが多すぎた月に気分が落ち込みます。電気代も値上げして、いろいろ経費がかさんでくると嫌な気分になります。2つめには、体の調子が悪いときにネクラになりやすいです。インフルエンザで寝込んでから腰痛になり、なんだか体力が落ちて元気がありませんでした。3つめには、生活が単調になっていました。

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Hさんは、自分がネクラになるのはこの3点のいずれかであるときが多いと気がつきました。とくに、生活が単調になり、チャレンジしていないときの自分が弱っていくことを自覚しました。そこで対策を考えます。

Hさんの解決策は水泳を始めることです。以前から友だちに誘われていましたが、忙しいと断っていました。でも体を鍛えて目標をもとうと考えました。大きなイベントに参加することも決めました。自分に足りないものは夢だったことにも気がついたそうです。自分の道を歩ける人は、人を妬む心も起きなくなります。人のことを妬んでいる暇はないからです。

自分を悲劇の主人公にしてはいけません。「フュージョン」に陥ると、感情も事実もごちゃ混ぜとなりブラックホールにはまります。自分に対して客観的視点をもち、嫌なことは忘れることのできる自分をつくっていきましょう。

保坂 隆 聖路加国際病院診療教育アドバイザー

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ほさか たかし / Takashi Hosaka

1952年、山梨県生まれ。聖路加国際病院診療教育アドバイザー、保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部を卒業後、同大精神神経科学教室入局。1990年より2年間、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)精神科に留学。東海大学医学部教授、聖路加看護大学臨床教授などを経て、現職。『敏感すぎる自分の処方箋』『精神科医が断言する 「老後の不安」の9割は無駄』ほか著書多数

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