「半沢直樹は要らない」AIに勝てる人間だけの能力 AI社会はあなたや子どもにどんな能力を求めるか
さて、ここまでAIのできることを大まかに見てきましたが、これからAIと暮らす社会が当たり前になる日がくる、ということです。
前述のように学習量や記憶量において、AIにはかなわないのですから、この分野でAIと戦うなどということはやめて、あくまでもよき助手、副操縦士、パートナーという考えでうまく活用し、これからは人間にしかできないことに集中していくことが賢明だということになります。
AIはこのITの中に含まれるのですが、ITそのものをAIと混同している報道を見かけます。通常のプログラミングの延長でAIといっているのは誤りで、今のところAI、人工知能といえるのは、ビッグデータを利用した「関連学習技術」と「特徴学習技術」によるコンピューター処理をいいます。
AIには太刀打ちできない人間の能力
そこで筆者なりに、ITとAIの得意とする分野と苦手分野、そして、まだ人間にしかできない分野をまとめてみたのが、ふたつの図表(「『IT』と『AI』が得意とする分野、苦手とする分野 まとめ」と「人間だけが持つパワー分野」)です。
脳をお手本にして今日までたどりついたAIは、脳の発達段階から見れば、ビッグデータに基づく記憶と計算をベースにしたサヴァン脳の域までには達していますが、いまだ「内オデコ」の働きがまったくできないということです。
つまり思考や真の創造、洞察や判断、計画性、感情や行動のコントロール、込み入ったコミュニケーション、やる気やチャレンジなど、思考や創造に代表される「考える力」の世界と、やる気やチャレンジに代表される「気力」の世界においては、AIは太刀打ちできないのです。
この「考える力」と「気力」から成る総合力を本書では、知性・知能・知覚の3つの知を総動員する頭脳の力という意味から「知頭力」と呼んでいます。
過去のデータ処理で信用度までも簡単に出してくれるAIによって、銀行の与信を担当している「倍返しだ」の半沢直樹の出番はなくなってしまう一方、フルに思考力を発揮している刑事コロンボは、AI世紀にはさらに忙しくなるということがわかります。
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