冴えない「パナソニック」は何が欠けているのか 「笛吹けども踊らず」に陥ってしまっている背景
そもそもジョブ型雇用には、転勤や移動が難しくなる、社員が雇用不安を感じる、人材育成がうまくいかなくなる、といったデメリットもある。必ずしもベストな人事制度とは言えない。
さて今後、楠見氏は、「危機感のなさ」を払拭するためにどのような表現と行動を見せるのだろうか。最近は先鋭化が進まない事業会社にしびれを切らし、「信賞必罰を徹底する」とたびたび発言している。事業構造改革に伴い人員削減という課題も浮上してくるだろう。
共感・感動を覚えもらう舵取りが必要
その際、カリスマ化していないサラリーマンCEOが気をつけなくてはならないのは、「人には厳しいが自分には甘い」「高い報酬(2024年3月期=2億5900万円)をもらっているくせに……」と見られる社内外の反感と嫉妬である。
楠見氏にとって最も有効な戦術は、従業員のモチベーションを高め、持ち得る最大限の力を発揮してもらうことだ。そこで求められるのが、反感や嫉妬を生じさせかねない冷酷さよりも、共感、感動を覚えてもらうことだ。
楠見氏は「昔の感覚のままでおられる管理職もいらっしゃいますが、話し方も工夫していただかなくてはならない」と管理職に呼びかけている。グループの顔である楠見CEOにも、松下氏が合格点を出してくれそうな高いレベルの愛嬌が求められる。
財務情報だけが企業価値ではない。楠見氏という人の非財務情報に引き続き注目していきたい。
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