営業で「言った・言わない」トラブルを防ぐ心構え 誠実に対応すれば長期的にはプラスに働く

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決して安くない金額でしたが、トラブルの電話がかかってくるたびに、私の気持ちもネガティブになっていました。私がお金を払うことで、みなさんが嫌な気持ちになっているのを終わりにしたい。それが私の考えた解決策であり、責任の取り方でした。

客観的に見ると、仲介業者の私には床の件に対する責任はまったくありません。しかし、店舗をお客さまに紹介したのは私です。その責任をしっかりまっとうしたい、そしてこれ以上、お客さまがオーナーさまと揉めるのを見たくない。そう考えたら、決して高くはない金額だと思えました。

実はその後、借主のお客さまからお礼との品とともに感謝のご連絡をいただきました。もし、あのまま裁判になっていたら、お客さまに感謝されることもなかったでしょう。そのお客さまとの縁もそれきりになっていたと思います。

「いつでも連絡できる」人

ほかには、こんなできごともありました。ご契約いただいて1年以上過ぎたお客さまから朝一で電話があったのです。

「目覚ましが鳴っているのに気づかなくて、ずっと鳴っていたら隣の家の方がバルコニーから竿で窓を叩いてきたり、何度も玄関を思いっきり叩かれて怖い」とのことでした。

事情を聞き、玄関などで待ち伏せされていたら怖いので、仕事終わりの時間を聞いて一緒にマンションへ入ることに。

エントランスには誰もおらず、一緒に部屋に入り隣の方に一緒に謝りに行きました。 不在でしたので一緒に考えながら手書きの謝罪文を書いてドアに挟んでおきました。 そこから隣の方からアクションはありませんでした。

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このようなトラブルが起きた原因はお客さまが疲れていて目覚ましに気が付かなかったことにありますが、私は「何かあったらいつでも連絡してください」と伝えているので、できる限りのことはしますし、お部屋で起きたことは私の責任でもあります。

このお客さまも、今ではもう15年くらいのお付き合いになりました。最初はお姉さまと同居で、そこから独立しておひとり暮らし、次は彼女との同棲、そして結婚し、その次はお子さまが産まれて……。計4回のお引っ越しをお手伝いしました。

今回のトラブルへの対応も含めて信頼していただき、お子さまと初めて対面した際は「誠さん抱いてください! 誠チルドレンですから!」なんて笑いながら言ってくれました。

責任を持つことでよりお客さまと信頼関係が強くなると感じます。

鈴木 誠 誠不動産 代表取締役
すずき まこと / Makoto Suzuki

1977年茨城県生まれ。高校卒業後、陸上自衛隊(朝霞駐屯地)に入隊。その後アパレル販売員を経て、不動産業界に転身。大手不動産仲介会社を経て独立。既存顧客の紹介を条件に物件案内をする完全紹介制で、ご縁のあったお客様に心を込めて全力で「住んだ後に幸せになっていただける空間」を提供している。お客様への徹底した心づかいが評判を呼び、芸能関係者やプロスポーツ選手など、紹介は途切れることがなく、物件内見数は25,000件以上、ご契約いただいたお客様は3,000組を超える。不動産仲介業界の健全な発展のために日夜尽力。本音で勝負する営業スタイルは「リアル正直不動産」とも呼ばれ、漫画『正直不動産』の取材協力もしている。日テレ「有吉ゼミ」不動産コーナーにも好評出演中。

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