企業の歴史に見られる自然実験
イリノイ大学のマーク・ボーグシュルトが率いる経済学者たちは、2つの疑問に答えることにした。
第1に、CEOはより大きなストレスにさらされているときにはより速く加齢するか? 第2に、CEOはストレスにさらされているときには早く亡くなるか?
これらの疑問に取り組むため、彼らは手始めとして、アメリカの企業の歴史に見られる素晴らしい自然実験を活用した。
1980年代半ばに、アメリカの各州が企業買収防止法を導入しはじめた。そのため、企業乗っ取り屋たちは、企業を買収するのが難しくなった。この法律のおかげでCEOのストレスが減った。唐突な敵対的乗っ取りをされるリスクが減り、地位が前より安泰になったからだ。
ボーグシュルトらは巧妙な調査方法を駆使して、ストレスが大きい状況のとき――企業買収防止法以前の、企業乗っ取りが横行する無法地帯だったとき――に企業を任されていたCEOと、法律に守られるようになってストレスが減ってからのCEOを2000人近く(ほとんどが男性)比較した。



















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