健康長寿のためには「中の上」あたりの地位がいい ストレスを感じるCEOは加齢が速いという衝撃

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積み木で表された階層制
権力がなさ過ぎたりあり過ぎたりすると、健康を害する可能性がある一方、社会的な階級の「中の上」あたりまで上るとちょうど良い場合が多いようです(画像:タカス/PIXTA)
横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。
では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。
今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

企業の歴史に見られる自然実験

なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造
『なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

イリノイ大学のマーク・ボーグシュルトが率いる経済学者たちは、2つの疑問に答えることにした。

第1に、CEOはより大きなストレスにさらされているときにはより速く加齢するか? 第2に、CEOはストレスにさらされているときには早く亡くなるか?

これらの疑問に取り組むため、彼らは手始めとして、アメリカの企業の歴史に見られる素晴らしい自然実験を活用した。

1980年代半ばに、アメリカの各州が企業買収防止法を導入しはじめた。そのため、企業乗っ取り屋たちは、企業を買収するのが難しくなった。この法律のおかげでCEOのストレスが減った。唐突な敵対的乗っ取りをされるリスクが減り、地位が前より安泰になったからだ。

ボーグシュルトらは巧妙な調査方法を駆使して、ストレスが大きい状況のとき――企業買収防止法以前の、企業乗っ取りが横行する無法地帯だったとき――に企業を任されていたCEOと、法律に守られるようになってストレスが減ってからのCEOを2000人近く(ほとんどが男性)比較した。

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