「怒りの感情」を根本から抑える"発想の転換法" 「アンガーマネジメント」より手前にあるもの

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その番組に、以前より懇意にさせていただいている松岡修造さんに声をかけていただき、アンガーをマネジメントするのではなく、最大の予防は「ごきげんマネジメント」ではないかとお話をさせていただく機会を得た。

アンガーをマネジメントしているうちは、「怒り」というネガティブな感情の中にいる。「機嫌がいい」という「ごきげん」にフォーカスし、「ごきげん」をマネジメントすることが重要なのではないかということをたくさんの方に届けられたのではないかと思っている。

「機嫌がいい」を自らマネジメントする

わたしたち人間は怒りなどのネガティブな感情を生み出し、「不機嫌の海」の中で泳いでいることがしばしばある。それはネガティブな感情を契機に何かの行動を誘発する動物としての原始的なメカニズムを、人間という高等な領域で実施しようとするからだ。

相手の考えが自身の考えと違うと、自己正当化するために怒りの感情で攻撃する。生命の危機につながるような事態が起これば、命を守るために怒りの感情で自分たちを守る。ときには、それで戦争すらしているのだ。

動物は生命維持や種の保存のためにのみ怒りの感情で戦うが、人間には高等な脳があり、それ以外のさまざまな理由で怒りの感情を有して攻撃をする。利益をめぐってだったり、宗教上の対立であったり、領土の問題であったり、過去を根に持つことであったり、などなどだ。

人間はやっかいな生き物だ。個人でいえば、世界中、国中、街中、組織中で、怒りで争っている。それにより、たくさんのものを失っているのだ。友情だったり、信頼だったり、信用だったり、家族だったり、職だったり、を失い、人生を台無しにしている人が残念なことに少なくない。

このネガティブなよくない感情の海の中にいて、それをどうマネジメントして、この怒りの原因にどう対処するのか、どうやってこの海を泳ぐのか、この「不機嫌の海」をなくすのか。こうしたことにもがいていることでさらに疲れる。

もしかすると、「不機嫌の海」での泳ぎ方を体得する練習ばかりをしているうちに、怒りの中にしかいられなくなり、ときに大きな怒りの嵐がやってきて荒れた海で溺れて沈んでしまうことにもなりかねないだろう。

次ページ「不機嫌の海」と「ごきげん大地」
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