羽田空港で無人車両実験、人手不足の解消へ一歩 ANAとトヨタ共同開発の自動運転車両を公開

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手動運転では最大時速25kmで牽引走行できる(筆者撮影)

技術は進展もコスト面は課題

自動運転を実現する中で課題となったのが、有人運転との混在だ。羽田空港の制限エリアの道路は片側2車線があり、トーイングトラクターやバスなど、車両がひっきりなしに行き交う。こうした交通量が多い空港での自動運転は、世界でも類例が少ないという。

メーカーの豊田自動織機は流れを妨げずに滑らかに運行できるかに苦心した。深津氏は「安全のためには止まらなければいけないが、必要以上に車両が停止してしまうと渋滞を引き起こしたり、航空機の遅延につながってしまう。そのあたりは非常に気を使いながら開発を進めた」と説明した。

豊田自動織機、豊田L&Fカンパニー AR開発部の深津史浩氏(筆者撮影)

将来的な導入に向けては、コスト面の課題も浮かび上がってくる。ANAの森氏は「自動運転車両の導入費用が大幅に上がるのは確かだ。現状では費用面よりも人手不足対策としての導入を優先している」と述べている。将来的には自動運転装置の簡易化や、複数台を1人で管制する体制の整備によって費用面での課題は緩和されていくものと思われる。

トーイングトラクターの自動運転化と並行して進められているのが、電動化の取り組みだ。通常のトレーラーはエンジン車だが、電動車も今少しずつ入れており、現在4台の電動車両を導入している。自動運転車両も電動化された車両だ。

自動運転トーイングトラクターの導入は、航空業界が直面する人手不足という課題に対する解決策の1つとなりそうだ。技術面での進展は著しいものの、コスト面や既存の業務フローとの調整など、実用化に向けてはまだ課題も残る。この技術がどのように空港の風景を変えていくのか。今後の展開次第で、この技術が空港の景色を変えていくかもしれない。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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