羽田空港で無人車両実験、人手不足の解消へ一歩 ANAとトヨタ共同開発の自動運転車両を公開

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その中で、トーイングトラクターに白羽の矢が立った。この機械は地上業務の中でも導入規模が大きく、ANAは羽田空港で約240台を運用している。人手による部分が多かった分、自動運転化による集約管理が進めば、大きな省人化の効果が見込める。

2025年度の本格導入目指す

自動運転トーイングトラクターの技術開発は2019年度からスタートし、2025年度の本格導入を予定している。現在は技術が完成し、導入に向けた最終段階に入っている状況といえる。

現在の試験運用で導入されている台数は、1台のみだ。

ANAは現在、自動運転トーイングトラクターを搬送距離が長いコンテナの運搬に活用している。空港付属の貨物倉庫から駐機場付近までの約2kmを往復する。運ぶのは野菜などの航空貨物だ。乗客の手荷物はターミナルビルからの輸送で距離自体が短いため、現時点では自動運転の対象外だという。

業務の分担も明確だ。貨物の選別や積み下ろし、機体への積み込みなど、状況判断や細かな操作が必要な作業は従来通り人が担当している。さらに、安全面を考慮し、自動運転車両は飛行機に直接寄せて停車することはせず、少し離れた地点で荷下ろしを行う。そこから飛行機までは人が貨物を運ぶという役割分担を採用している。

豊田自動織機の深津史浩氏は「これまでの120の搬送区間で無事故を達成している」と述べ、現時点での安全性の高さを強調している。

自動運転システムの核となるのは、高精度な現在地把握技術だ。車両はGNSS、LiDAR、磁気マーカー、映像解析という4種類の技術を組み合わせて車両の位置を特定している。誤差150ミリメートルの精度で目的地点に停車することができる。自動運転の最高速度は羽田空港の制限速度に合わせて時速15キロメートルとなっている。

一般的なトーイングトラクターは屋根がない(筆者撮影)
自動運転対応のトーイングトラクターは屋根がある。LiDARやGNSS対応の測位装置を取り付けるためだ(筆者撮影)
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