営業マンなしで「年400万本」売れる焼肉たれの秘密 「戸村のたれ」なぜ小さな肉屋のたれが全国へ?
前回の記事では、「黄金の味」シリーズで知られるエバラでもその牙城を崩せないほど、宮崎県で圧倒的シェアを占める「戸村本店の焼肉のたれ」の味の秘密や、誕生の背景、甘い味付けを好む南九州の甘い醤油文化について取り上げてきた。
後編となる本記事では、小さな精肉店で売り始めた1杯50円のたれが、いかにして宮崎で広まり、今やアジア圏へ輸出されるまでに至ったのか、販路拡大の裏側を探る。
販路拡大、でも営業マンはいません
―お玉1杯50円から売り始めたたれが、どのように販路を広げていったのでしょうか。
出入り業者だった肉の卸問屋であるミヤチク(当時は県畜産公社)の営業マンが気に入ってくださり、「これはおいしい、卸先に勧めて売りたい」と提案してくれたのが最初のきっかけです。
そこでたれを四角い容器に詰めて、当時はラベルもなしでミヤチクに卸すようになりました。ミヤチクの営業マンが「今おいしいたれがあるから販売しないか」と行く先々で案内をかけてくれたようです。
―肉の営業マンに提案してもらえるとなると、需要の大きい所を重点的かつ効率的に回れますね。
そうなんです。Aコープなどに卸していただいて。当時は、今みたいにバラエティー豊かなたれや調味料はなかったんですよね。並んでいるのは醤油や砂糖など、単体ぐらい。そこに加わった焼肉のたれが案外消費者に受け入れていただき、広がっていったようです。
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