なぜ「背の高い男性」をリーダーに選びがちなのか 「時代後れの脳」のせいで身長が収入も左右する

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アメリカの大統領たちは、それぞれの時代の男性よりも一貫して背が高い。研究者たちが計算してみると、他のさまざまな要因を考慮に入れた後でさえ、背の高い候補者が、背の低い競争相手(たち)よりもたいてい多くの票を獲得していることがわかった。

背の高い大統領は、再選される率も高い。これは歴史の気まぐれだと思われるといけないので、研究者たちは実験を行い、参加者に同じ人物の写真を見せた。

ただし、デジタル処理で背景を操作し、一方ではその人物が平均よりも背が高く見えるように、もう一方では低く見えるようにしておいた。

それから、参加者たちをランダムに二分し、一方には背が高く見える男性と女性の写真を見せ、もう一方には背が低く見える男性と女性の写真を見せた。

すると、背が高く見える男性のほうが指導者らしいと認識された。大きな影響があったわけだ。

だが、女性に関しては、指導者らしさの認識を形作るうえで、身長の果たす役割は格段に小さかった。これは、「石器時代の脳仮説」にうまく当てはまる。身長は、男性の狩人や戦士にとって、より重要だろうから。

そうはいうものの、どうやらこの違いは、ハイナル・バンという名のオーストラリアの野心的な政治家には関係なかったようだ。彼女は選挙に立候補する前の2002年に、足の骨を切断して引き伸ばし、約7.6センチメートル背が高くなれた。彼女は当選した。

背の高い人のほうが収入が多い

だが、これは政治家だけにとどまらない。18世紀のドイツから今日のアメリカとイギリスまで、さまざまな時期にさまざまな場所で行われた研究から、背の高い人のほうがキャリア全般を通じて収入が多いことがわかっている。

ある調査では、数インチ背が高い人のほうが、生涯収入が平均でおよそ20万ドル多いことがわかった。

これには合理的な理由はないが、それでもこの違いは、現代のミスマッチとしてなお持続している。

というわけで、私たちは女性よりも男性に、背の低い男性よりも背の高い男性に、権力を与える。そうする一因は、私たちの時代後れの脳に根差している。

(翻訳:柴田裕之)

ブライアン・クラース ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン准教授

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Brian Klaas

ミネソタ州で生まれ育ち、オックスフォード大学で博士号を取得。現在はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの国際政治学の准教授。『アトランティック』誌の寄稿者で、『ワシントン・ポスト』紙の元ウィークリー・コラムニスト。受賞歴のあるポッドキャストPower Corruptsのホストを務めている。個人のホームページはBrianPKlaas.com、Xのアカウントは@BrianKlaas。

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