新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?

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もっとも、一過性の要因を除いても営業利益の予想は前期比で横ばい圏にとどまる。とくに事業環境が厳しく、足を引っ張ると見込まれるのが、固定電話を手がけるNTT東日本とNTT西日本だ。東西を含む「地域通信事業」の2025年3月期の営業利益は2900億円(前期比33.7%減)と大幅減益を予想する。

NTTは、東西向けの老朽化設備への対応や「コスト削減のためのコスト」などでの投資も計画していると説明する。決算発表時に、島田明社長は「東西は2024年度で計画する利益水準がボトムだ。いったんしゃがんで、ジャンプしたい」と語っていた。

しかし足元の株価動向をみる限り、市場からは、今期の減益計画が来期以降の跳躍を見据えたものとしては理解されていないようだ。

個人が買い、海外投資家が売り続ける

松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストによれば、減益予想に失望して株を手放したのは海外機関投資家が中心で、個人投資家は株価の反発狙いで買い続けていたとみられるという。

NTTの島田明社長
株式総会に臨んだ島田明社長は「しっかり業績を高めて株価を上げるように一生懸命努力したい」と決意を語った(写真:NTT)

NTT株の足元の「買い残高」(信用取引で買われて決済が完了していない株式)は約2億9648万株(6月21日申し込み現在、東京証券取引所調べ)と、5月の決算発表時の約1.43倍に膨らみ、株価が下がる局面でも大きく増加している。

NTTは今期も増配の計画で、株価が落ち込んだ分、1月に約2.6%に下がった予想配当利回りは回復し、足元で3.5%程度まで上昇。株価の反転上昇を期待しつつ、高水準の利回りを好感してNTT株を買っている個人投資家は多いとみられる。

一方、海外投資家がNTT株を売り続ける理由について松井証券の窪田氏は、「海外投資家が日本株を買う理由に、日本にインフレが定着し、多くの会社で名目の業績が伸びるとの期待があった。だが、実態が『減益』となれば『全然話が違う』ことになり、失望売りが出ている。通信セクターは『脱デフレ』になっておらず、世間から取り残されている」と指摘する。

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