新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?

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NTT株は市場で「ディフェンシブな高配当利回り株」(楽天証券経済研究所の窪田真之氏)と評価されている。

社会に不可欠な通信インフラを担う企業であるため、業績が景気動向に左右されにくい。配当利回りも平均より高水準で、プライム市場の単純平均利回りが2.12%(2024年5月現在、東京証券取引所調べ)なのに対し、NTTの利回りは3.44%(6月25日現在)だ。

価格が安く、誰もが知る安定した会社で、配当利回りもよい――。NTT株は、初心者にとって「手を出しやすい」条件がそろった銘柄だといえる。

それだけに、株価の突然の落ち込みに動揺した個人投資家も多かったようだ。総会の質疑では、株主の男性が「株価が下落してどうしたらいいか、株主は困っていると思う」と訴える場面も。この男性が株主に対する携帯料金半額といった還元策を提案すると、会場からは拍手が湧き起こった。

株価急落を招いた減益予想の中身

株価下落の主因とされる、5月10日に発表された2024年度の通期業績予想は、営業収益が13兆4600億円(前期比0.6%増)、営業利益が1兆8100億円(同5.9%減)、純利益が1兆1000億円(同14%減)と、微増収を確保するものの大幅減益の内容だった。5期ぶりの減益見通しとなる。一方、年間の配当予想は5.2円(前期5.1円)と増配を維持した。

楽天証券経済研究所の窪田氏は「NTT株は株式分割もあり、高配当利回り株として売買されていたが、(年初から株価が上がったことで一時)予想配当利回りがNTTとしては相当低い約2.6%まで下がった。それに加えて減益予想を出したことから株が売られ、株価が下がり始めると売りが売りを呼んで下げが続いた」と分析する。

減益予想は一見するとインパクトが大きいが、これは前期の反動要因が大きく、見かけの数字ほど悪い内容ではない。前期は局舎や土地などの不良資産の売却を一気に進めたことに伴い、約1000億円の営業利益を計上していた。2025年3月期はこれらが抜け落ちることになる。純利益の減益幅がさらに大きいのは、前期のインターネットイニシアティブ株の売却益がなくなるためだ。

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