江東区で記者が目撃した選挙妨害騒ぎの阿鼻叫喚 江戸情緒残る下町はそのとき地獄絵図と化した

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東京・江東区で発生した選挙妨害の現場
選挙妨害ととらえられる行為が問題視されたつばさの党の候補者。現場では、警察が出動する事態となっていた(記者撮影)

選挙カーで他候補者を追いかけ回す。他候補者が演説する最中に電話ボックスによじ登り、声を被せるようにマイクで大声を出す――。

4月28日に投開票が行われた3つの衆議院議員補欠選挙。このうち、東京都江東区を選挙区とする「東京15区」の選挙は、公職選挙法違反(買収など)をめぐる柿沢未途・前法務副大臣の辞職に伴って実施された。

自民党が候補者を擁立せず、9人の候補者が乱立して繰り広げられた激しい戦いの裏側では、ある陣営による、冒頭のような「妨害行為」も注目を集めた。

「命の危険を感じるような場面もあった。これまでに経験したことがない選挙妨害が発生している」。候補者の乙武洋匡氏を支援した東京都の小池百合子知事は、そう憤りをあらわにした。補選の投票が終了した直後の4月28日夜には、政治団体「つばさの党」(黒川敦彦代表)から出馬した根本良輔氏や黒川氏らが、他候補者の街頭演説を妨害した公選法違反の疑いがあるとして、警視庁から警告を受けていたことが報じられた。

記者は選挙期間中、江東区に住む1人の有権者として、この選挙妨害ともとらえられる活動の一場面に遭遇していた。現場でいったい何が起きていたのか。

昔ながらの下町に響いたアナウンス

江戸時代の埋め立てで誕生し、隅田川につながるいくつもの水路に囲まれた門前町に起源を持つ江東区の深川・門前仲町。現在も富岡八幡宮や深川不動堂といった寺社仏閣を擁しており、昔ながらの居酒屋が軒を連ね、縁日には出店が並ぶ。東京を代表する下町の1つだ。

今回の選挙期間中、唯一の日曜日となった4月21日午後。この街の大通り沿いにある商店街を記者が歩いていると、拡声器で大声を上げながら、街を巡回する老人男性とすれ違った。

「選挙妨害を許してはなりません!」。そんなアナウンスを繰り返している。

いぶかしげに思いながら先を進むと、商店街の一角に設けられた、政治団体「日本保守党」(百田尚樹代表)の候補者・飯山陽氏の事務所前に大勢の人々が集まっていた。そばには飯山氏の選挙カーが停車し、一時的に遊説先から事務所に戻ってきているようだった。

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