江東区で記者が目撃した選挙妨害騒ぎの阿鼻叫喚 江戸情緒残る下町はそのとき地獄絵図と化した
「邪魔だ」「うるせえよ」――。聴衆からは多くの怒号が飛び交うようになり、どこからともなく、「帰れ」という叫び声が上がった。その声は一気に膨らみ、大合唱になった。
「帰れ」の大コールを前に、一瞬聞こえなくなった根本氏の声が再び響き渡った。「はい、日本保守党から逮捕者が出てしまいました。コイツ、私人逮捕しまーす。俺にタックルして殴ってきました」。
その瞬間を記者は見ていなかったが、聴衆の1人が根本氏に手を出したようだった。中年くらいの男性が、体を押さえようとする黒川氏らともみ合っていた。この男性が実際に、日本保守党の支援者であったかどうかはわからない。
「暴力でしか訴えることのできない境界知能のバカどもの信者。これが日本保守党の正体でございまーす。江東区民の皆さん、よーく見てください」と、勝ち誇ったような根本氏の声が響き渡る。
聴衆から抗議の声が上がると、根本氏は挑発を重ねた。「お前も私人逮捕だからな、クソオヤジ。こっちこいよ、てめえ。もっと罪重ねてごらん。牢屋ぶち込んでやるよ」「IQ80以下の境界知能が。おめえらみてえなバカが日本の政治をダメにしてんだよ。もっと勉強しろ、おめえらよぉ!」。暴言は続く。
「なぜ取り締まらない」警察に訴える飯山陣営
しばらく時間が経つと、サイレン音が響き渡り、5台のパトカーが駆けつけた。現れた警察官たちが事情を尋ねる。黒川氏らに取り押さえられていた男性が最終的にどうなったか、記者は確認できなかった。
「これがありなんだったら、何でもありじゃないですか。やったもん勝ち!」「なんで取り締まらないの!これだけ警察がいるのに!」。飯山氏陣営の男性が、駆けつけた警官らに必死の形相で訴える姿が目に入る。警官側は、静かに耳を傾けているだけだった。
子どもが泣き叫ぶ声が聞こえ、現場が騒然となる中、ついに日本保守党陣営が聴衆に呼びかけた。「人が集まっていたら連中の思うツボですので、すみやかに解散してください」。呼びかけに応じるかたちで、集まっていた聴衆たちは三三五五と少しずつ散らばっていった。
「じゃ、帰りまーす」。聴衆が引き上げたからか、つばさの党陣営も街宣車に乗り込み、去っていった。その後、事務所脇には路傍を塞ぐように重厚な機動隊のバスが停車した。
記者の傍らにいた地元民とみられる男性がつぶやいた。「ずっと、この繰り返し。全然話が聞けねえよ。いい加減にしてほしい」。
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