サハリン島「ギネス級に親切」おじさんと北の果て 稚内からフェリーで5時間半、さらに1000キロ
これから南アフリカの喜望峰くんだりまで楽園を探しに行くという、たいへんおめでたい旅の門出は、倒産した工場のように辛気臭いコルサコフ港と冷たい雨が迎えてくれた。
未舗装の道を軽自動車で
まずは、スマホのSIMカードを買おう。
いつなんどき仕事先からメールが届くかわからないから、SIMはリモートワーカーの生命線である。生業はデザイナーである。スマホにSIMを挿入して地図アプリを開く。
Yuko、どこへ行こうか?
とは言ったものの、わが家の定番は「島に上陸したら端っこに行け!」と決まっている。地図アプリを覗いていたYukoが、
「ここから最北端まで、1000キロもあるみたい。大丈夫?」
そんなに遠いんだ。けっこうあるねー。でもこの車、すでに10万キロも走っているバリバリの中古車だから、往復して2000キロくらいなら問題ないと思うよ。
「あ、そう。でもね、道路の半分は未舗装みたい」
えっ? ということは日本にあてはめると、東京から九州まで砂利だか土だかを走るってこと? そ、それはどうだろう?
〝軽〟の分際で、そんなドライブが許されるんだろうか? パンクひとつでピンチじゃん。
「しかもね、途中、町とか村がほとんどないみたい」
ってことは、もし故障したら、次の村まで300キロくらい歩かなくてはならんとか、そんな目に遭ったりするの?