ネズミ増加に悩む繁華街で「協働」生んだ舞台裏 東京都千代田区 行政と住民・企業が連携

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しかもネズミの繁殖力は非常に強い。「鼠算(ねずみざん)」という言葉もあるように、放っておくと等比級数的に増加する。よって、発見したら早期に駆除したほうがいい。

行政機関のうち、ネズミ対策を担っているのが保健所だ。東京23各区にも設置され、区民から寄せられる相談や苦情に対応している。

千代田区でドブネズミの相談が増加

東京都千代田区では、2012年頃から秋葉原駅東側でネズミの相談が増えてきた。家の中に生息する警戒心の強いクマネズミの相談はそれまでもあったが、大型で、どう猛で、下水溝で見かけることが多いドブネズミの相談が多く寄せられるようになったのだ。

調査したところ、区内の国道の植栽に複数のドブネズミの巣穴があり、そのそばには、ごみの集積所があった。

その後もネズミ対策を求める区民の声が複数寄せられるようになり、区役所出張所の所長とともに、保健所と清掃事務所の各担当者が国道の管理事務所に対策を講じるようにお願いに行った。さまざまな対策を試行錯誤した結果、ネズミの巣穴をコンクリートで埋める処置が施され、ドブネズミが激減した。

このことから保健所と清掃事務所の担当者は、「各部署と一緒に動くと、可能性が拓けてくる」ことを学び、組織的な連携の重要性を確信した。

たとえば、ルールを守らずに排出されたごみをネズミが食い荒らしていたケースでは、保健所は飲食店へ行ってネズミ被害を指導する。清掃事務所は、毎日のごみ収集のついでにネズミの巣穴に殺鼠剤を投入する。ネズミ被害が見られなくなった時点で区役所の道路公園課は植栽を整備する。

このような対応をそれぞれがとり、さらには後述する一斉清掃の後に保健所がネズミの一斉駆除を行ってネズミ駆除を徹底させていった。

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