以前、本連載で「ごみの無法地帯」だった東京・新宿二丁目で、住民たちが行政や民間事業者と協力して街の美化活動に取り組み、状況が改善された事例を記事で取り上げた。
この事例は地方自治体が掲げる「協働によるまちづくり」の模範となるモデルだ。このモデルを地域の事情に応じてアレンジすれば、他地域でも展開が見込まれる。
そして実際、この「新宿二丁目モデル」を参考に、ネズミ対策のため町内の清掃活動を徹底し、「だれもが気持ちよく訪れる清潔な街にしよう」と立ち上がったのが、東京都千代田区鍛冶町二丁目町会の平野恵一町会長(73)だ。
千代田区のネズミ対策や鍛冶町二丁目の清掃は、昨今テレビや新聞で取り上げられ話題となっている。本稿ではどのような過程を経て現在の協働の取り組みに至ったのか、また、美化活動モデルが機能するために必要となる要素について述べてみたい。
深刻なネズミ被害、対策にあたるのは保健所
ネズミは深刻な被害を私たちの生活に及ぼす。
まずは衛生面での被害。菌やウイルスを有しているため、病気や病原菌を媒介し感染症を引き起こす可能性がある。体表にダニなどの有害な寄生虫を持っているので、室内にそれらが持ち込まれるリスクもある。
さらに、ネズミは都市機能を麻痺させる。地上や地下に張り巡らされた電線やケーブル類をかじるため、最悪、火災や停電の原因となる。
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