気づかぬうちに陥る「現代の情報弱者」とは誰か 「だまされる人が愚か」だと言い切れない事情

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そういうものに飛びついて安易に怒ったり騒いだりする人は、総じて真実を知ろうとする姿勢に欠け、大きな声に流されやすい。いってしまえば、ワイドショーは「情報弱者の人たちをいかにカモにするか」というビジネスモデルであり、しかも、それがしっかり的中してしまっているという意味で秀逸なビジネスモデルと言えます。ワイドショーだけでなく、SNSで過激な意見を発信しているインフルエンサーも同様。

また、YouTubeを見て「9割の人が知らない世界の真実」といった、いわゆる陰謀論にハマる人も「カモにされやすい情報弱者」の類型に入るでしょう。それこそ反ワク派の多くは、情弱であるがゆえにワクチン陰謀論にからめとられている、要はカモにされているわけです。

私は、現代は「専門家の時代」であると思っています。玉石混淆の情報が膨大に溢れているからこそ、「玉」の情報を発信する専門家の存在価値が高まっており、情報を受け取る側である私たちは、常に「信用できる専門家かどうか」を見極めなくてはいけません。手始めにテレビに出ているような「自称・専門家」の言うことを鵜呑みにせず、むしろテレビにはあまり出ていない複数の専門家の発信を並列的に眺めるようにすることで、「カモにされやすい情報弱者」にならずにすむでしょう。

無邪気なだけに危険

世の中には「成功者が成功の秘訣を説いた本」があまたあります。しかし結局のところ、成功とは「時の運」によるところが大半です。たまたま、自分のアイデアが世の中のニーズにマッチした。たまたま、いい協力者に巡り会えた。こうした偶発的なラッキーが積み重なった結果に過ぎません。したがって、仮に、その成功者と同じことを同じように実践したとしても、同様に成功できるとはかぎらないわけです。

成功と失敗は紙一重であり、一握りの成功の陰には幾万の失敗例があるはずです。では、その一握りの成功に必然性があったかというと、そうとは言えないでしょう。にもかかわらず「自分はこれをしたから成功できた」と断言するのは、決して悪気はないだろうとはいえ、一種の「成功者バイアス」でしかありません。

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